ハウスメーカーや工務店が作成する工事見積もり書には、法的に認められた書式はありません。
ここでは、工事見積もり書はどんな項目があるのか、どんなところに注意してみるべきか
チェックするポイントや相場を説明していきます。
工事見積もり書にはどんな項目があるのか
標準仕様が決まっていない設計事務所や中小の工務店による見積もりは、
外装や内装、住宅設備等の仕様を施主が自由に決めることが出来るため、
細かく項目の仕様、費用が見られます。
それぞれの項目にはどういうものがあるか見てみましょう。
1.仮設
- 仮設工事:建築工事中に設ける、一時的な施設や設備の施工を行う工事。工事完了には全て撤去される。
足場組み・仮設電気・仮設トイレ・養生・清掃、片付けなどの準備のための工事
2.基礎
- 基礎工事:コンクリート・鉄筋・型枠・杭・土の処理などで地面と建物のつなぎ部分にあたる基礎を作る工事
3.木工
- 木工工事:木材の加工、組み立て、取付けに関する工事の総称。
建物の骨組み・木材・建材・ボード類・釘・金物などを使う大工さんの仕事
4.屋根
- 屋根工事:瓦、板金、などで屋根を葺く工事のことで、庇や樋の工事も含む。
5.建具
- 金属製建具:窓のアルミサッシと金属製ドアの工事
- 木製建具:木製窓や木製ドア、障子や襖付けなどの工事、建具金物や取付け手間も含む。
- ガラス工事:アルミサッシ以外のガラスで、壁に直接はめ込むはめ殺しガラス(フィックス)、ガラスブロック、化 粧鏡などの工事
6.仕上げ
- 防水工事:ベランダなど長期的にわたって防水機能を持った層をつくる工事
- タイル工事:浴槽の床や壁、玄関などのタイルを張る工事
- 石工事:石を張る工事、タイル状の石はタイル屋さんが張る場合もある
- 金属工事:物干し金物、鉄骨階段、手摺りなどの金属を使った工事
- 左官工事:外壁内壁を塗り仕上げとした場合の工事
- 塗装・吹き付け工事:外壁に粒状の材料を吹き付け、色着けを行う化粧工事
- 内外装工事:外壁はサイディングまたは鋼板で、内部は床、壁、天井の仕上げに関係する工事
7.仕上げユニット
- 仕上げユニット工事:造付け・既製家具・システムキッチン・洗面化粧台・ユニットバスなどの工事
8.設備
- 電気工事:電灯コンセント・照明器具・弱電設備などの工事
- 給排水衛生工事:衛生設備・給湯・排水・浄化槽・ガスなど水道屋さんの工事
- 冷暖房空調工事:冷房・暖房の工事
- ガス工事:給湯器・コンロ・暖房などにガスを供給する配管工事
9.諸経費
- 手続き上、必ずかかる費用:設計費用・建築確認申請費用・請負契約の印紙代など、現場経費と会社経費を合計した費用
10.その他
- 解体工事:既存建物の解体撤去がある場合の工事
- 外壁工事:塀・門扉・植栽・カーポートなどの工事
どんなところに注意してみるべきか
工事見積もり書をしっかりチェックするポイントは、
できるだけ、詳しい見積もり書を設計図と一緒に受け取って検討することです。
詳しい見積もり書なら、各工事ごとに集計してあるので、その中でも、金額や数量が適正か否か、
工事中に変更箇所が出た場合もいくらの増減かも解りやすくなります。
では、どんなところに気をつけてチェックすればいいのでしょうか?
1.要望が反映されているか
打ち合わせをした項目が全て見積もり書に入っているかを住宅会社と施主、
双方でチェックする必要があります。
2.抜けている項目がないか
見積もり書が細かくなるので、打ち合わせした項目に欠落がないかをこちらも、住宅会社と施主、
双方でチェックする必要があります。
3.使用する材料や工法について
4.明細項目の記載があるか
5.坪単価はいくらになっているか
6.消費税
見積もり書の表紙に記載されている金額が消費税込か否か。
7.有効期限
有効期限についての決まりはありませが、価格の変更やサービス内容が変わっている場合も
ありますので、その時に改めて見積もり書を発行する形になるように、
有効期限が記載されている場合があります。その期限内であれば、見積もりに記載している内容・金額で
申し込みができるということになります。
8.別途工事
見積に含まれない別途工事項目など、重要な内容が書かれているのでチェックしておきましょう。
相見積もりは必要?
同じ設計内容で複数の工務店に工事見積もりを依頼することを、相見積もりと言います。
主な目的は、その地域での適正な工事価格を知ることです。
住宅は一棟ごとに設計が異なるため、実際の建築費用は見積もらないと分かりません。
一社の見積もりだけでは、適正かどうか、判断が難しいのです。
ただし、相見積もりは、無闇に競争を煽るものではありません。
無理な値引き要請は、工事の質を落とすことにつながります。
見積もり比較は価格選びだけでなく、一生付き合っていくハウスメーカー選びでもあるのです。
故に、相見積もりは必要と言えます。
相見積もりをするときの注意点
- できるだけ同じ設計で比べる
- 総額が予算におさまるかどうか検討する
- 見積もりが「上がる可能性」を聞く
- 見積もりが「下がる可能性」を聞く
- 見積もり依頼から提案までの対応を見極める
まとめ
工事見積もり書は、各工事ごとに仕様や単価、数量、金額が書かれた明細など、
工事契約の元となる詳細な内容のもので確認すれば、工事中に変更箇所が出た場合も、
変更でいくら増減するかわかりやすくなります。
詳細な見積もりには、詳細な設計図と仕様書が必要で項目も多いのですが、
全ての項目が変更可能なのでコストダウンはしやすく、
見積もり詳細がわかるので、見積もり書に納得感があります。
相見積もりも適正な価格を知る物差しになります。
内容がよく分からない、工事見積もり書の項目の多さを見ると、チェックするには面倒に感じる
かもしれません。
それでも、よく確かめないで不要な工事を行わないためにも、
高額な支払いを求められるようなトラブルを起こさないためにも、
事業者任せにしないで、あなた自身で見積もりは必ず確認しましょう。