建築費の目安としてよく使われる「坪単価」。
ただ単に一坪の単価というわけではありません。
「坪単価」が安ければ、低価格で家が建つという単純なことではないことをご存知でしたか?
「坪単価」を目安に家づくりの費用を検討する場合は注意が必要です。
ここでは、実際に「坪単価」ってなんの価格なの?
建てたい家によってそんなに違うの?という疑問にお答えします。
坪単価は目安に便利?
一坪は、畳2畳分。
坪単価とは、一坪あたりの建築費のことです。
本体工事費 ÷ 坪数 = 坪単価
と単純に計算はできますが、
実際には含まれている工事内容、建物の大小・形状により、上下するという
不確定さがあります。
坪単価の出し方には共通のルールがありません。
坪単価に影響する住宅の面積とかたち
小さな家ほど高くなる坪単価
家は大小に関わらず、使う材料の種類はあまり変わりません。
特に水廻りの設備等(キッチン、浴槽)の数やグレードは家の大きさには関係なくかかる費用です。
坪数が少ない小さな家ほど、本体工事費を割る坪数が少ないため
坪単価が高くなります。
同じ面積でも変わる坪単価
同じ床面積の家でも、階の面積配分の違いで坪単価が異なります。
1階の面積が2階より大きい建物 (高) > 1、2階同じ面積の建物(安)
屋根や基礎のコストは2階床のコストより大きいので、1階の面積が大きな建物ほど坪単価が増大します。
建物形状による違い
例え面積が一緒でも
シンプルな箱型の家より凹凸の多い変形に富んだ形は、外壁や屋根面積が増えます。
建物の形状が複雑になればなるほど工事の手間もかかるため、坪単価は増大します。
坪単価に使う面積
「延床面積」
建物各階の床面積の合計のこと。
ロフトやバルコニー、小屋裏収納、地下室、一部の車庫、玄関ポーチは含まれません。
「施工面積」
建築工事費がかかる部分すべてです。
ベランダや小屋裏収納、地下室、一部の車庫、玄関ポーチなど
建築基準法で「延床面積」には含まれない部分も含まれるため、各階の床面積を合計した「延床面積」よりも
広くなります。
そのため、計算上は坪単価が下がることになります。
面積:「延床面積」<「施工面積」
坪単価:「延床面積」>「施工面積」
坪単価の算出法はそれぞれの工務店やハウスメーカーによって違い、
延床面積で割り出す場合と施工面積で割りだす場合では、差異が生じるということです。
同じ面積でも変わる坪単価
表記されている坪単価が同じ延床面積でも、家の形状によって本体価格が違ってくるため、坪単価も変わります。
また、同じ延床面積でも設備機器や内装、外壁、建具などをグレードアップすれば、
本体価格も上がり、坪単価が上がることになるので注意が必要です。
本体工事以外にかかる費用は何があるのか?
坪単価に含める項目
坪単価はあくまで建物の本体価格を面積で割った数字。
実際には「含める範囲」という定義がなく、どこまで含めるかは住宅会社によります。
坪単価に含まない項目
「付帯工事費」「諸費用・その他費用」(メーカーにより異なります)
- 水道の引き込み、合併処理浄化槽の設置などの屋外給排水工事費
- 空調設備費(エアコン)
- 外構(庭やガレージ)工事費や地盤改良費
本体工事費以外の別途工事費用は坪単価の中に含まれないことがほとんどです。
◆建物の本体価格に含まれるかどうか、あいまいなもの
- エアコン
- カーテン
- 照明
- 消費税 など。
◆建物の本体価格にだいたい含まれていないもの
- 外構
- ウッドデッキ
- カーポート
- 屋外における電気/ガス/水道給排管 など。
総費用のうち、坪単価の元になる「本体工事費」が占める割合は7割程度。
それ以外のさまざまな費用が3割を占めるのです。
吹き抜けや階段ホールのように床がない場所、空間でさえも、建物の本体価格に入れている入れていないなどの
差があります。
このように、気になるハウスメーカーや住宅会社に建物の本体価格に入るものと入らないものを
把握しておくことのほうが、予算を考える上で重要なことです。
だいたいの目安として
坪単価×延床面積+2~3割増
で予算を見積もっておくと良いでしょう。
相場
気になる方も多いと思いますので、強いて言うのであれば、
規格品住宅ではない自由設計の注文住宅の場合70万~100万円くらいが大体です。
主に設計費用は別として、実際の建築施工でかかるコストは材料と人の手間です。
人については電気屋、大工、左官など、家はたくさんの職人の手で造りあげており、
人件費はどこの建築現場でも大差はないと思います。
それ以上のコストが掛かる場合、時間と手間をかけたり、建築材料や素材にこだわっているということになります。
まとめ
一概に坪単価だけでは予算は立てられないといえます。
坪単価に含まれるものに定義がないということ、
住宅メーカーそれぞれの基準があることから、算出方法が違うので建築費の高い安いを比較する材料にはできないということです。
一生のうちに、自分の家を何度も建てられるわけではありません。
坪単価にとらわれた価値感だけで判断しては、本質的にどんな家にしたかったのか妥協せざるを得なくなってしまいます。
「坪単価」が計算の仕方によって金額が変動することを理解していれば、自分が建てる家は広告で表示された坪単価より高くなるか、安くなるのか、おおよその見当をつけることができます。
「坪単価」は、正確な費用を出すためのものではなく、あくまで目安として、上手に活用していきましょう。