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いま改めて注目されている素材「タイル」を学ぶ!

建材として広く一般に普及しているタイルですが、いま改めて注目を集めているように思います。

現在弊社で設計している住宅でも、多くのお施主様がタイルの使用をご希望されています。

素材について理解を深めていくことは、愛着を持てる家づくりにつながっていくと思います。今回はタイルの歴史を振り返りながら、改めてタイルについて学んでいきたいと思います。

 

タイルの歴史

写真:元興寺(596年)現存する日本最古の瓦

日本の最初のタイルは「瓦」

日本の最初のタイルは寺院建築に使用された「瓦」でした。

瓦というと屋根材を思い浮かべる人が多いと思いますが、当時は寺社仏閣の建築素材として床や壁の表面にも用いられていました。

 

6世紀末:仏教とともに大陸から「瓦」が伝来

江戸時代後期:オランダから「煉瓦」が伝来

明治時代初期:欧州から「タイル」が伝来

明治時代後期:アメリカから「テラコッタ」が伝来

 

タイルの歴史を遡ると、由来や使用場所によって、「敷瓦」「タイル」「テラコッタ」などさまざまな名称が使われていました。

そこで今から約100年前に、名称の曖昧さを避け、工業製品としての流通を促進させることを目的に、壁や床を覆う平板状のやきものの名称を「タイル」という言葉に統一しました。

 

外装材としてのタイルの普及

引用:安井建築設計事務所ホームページ「大阪倶楽部」(2023.04.22)

外装材としての利用

日本では1923年の関東大震災以降、鉄筋コンクリート造の建物が多く建てられるようになりました。

この時コンクリートを保護する役割で外装タイルが表面仕上げ材として多く使われるようになりました。

現在でも外装がタイルのマンションなどは多く見かけると思います。100年以上同じ使用のされ方をしているということには驚きです。

 

内装材としてのタイルの普及

写真:子宝湯(1929年/現・江戸東京たてもの園)

衛生素材としてのタイル

外装材としてタイルが普及していくほぼ同時期、1918年〜21年のスペイン風邪の流行をうけ、日本でも生活の中に衛生の意識が広まっていきました。

銭湯といえばタイルというイメージもあるかと思いますが、当時多くの人が利用する公共の場での、衛生面を維持する目的で、タイルの利用が促進されていきました。

写真:1953年に愛知県建築課が設計した「農村の生活改善」を目的とするモデルハウス(日本のタイル100年 美と用のあゆみ/P41)

その後、個人宅でも汚れが目立ちやすく落としやすい「白いタイル」が住宅の浴室や台所などの水回りに衛生目的で使用されブームになりました。

このように日常の中にタイルが広く浸透していきました。

 

タイルの装飾性

写真:大和屋本店たばこ販売のガラスケース(1928年/現・江戸東京たてもの園)

場を飾るタイル

1920年代から30年代は人々を魅了する華やかな装飾性を備えた建築が好んで建てられ、それを担った素材がタイルでした。

まちのたばこ屋を初め、ホテルや百貨店など人々が集う社交場となる建築の多くはタイルで飾られていました。

その後、機能性や合理性を追求し装飾性を排除したモダニズム建築が確立していく中でその風潮は少しずつ変化していったようです。

 

タイルの機能性

引用: LIXILホームページ「エコカラットプラス」(2023.04.22)

新素材としてのタイル

現代に近づくにつれタイル自体に様々な機能が付与された「高機能」タイルが開発されるようになりました。

劣化を防ぐための性能を高めた製品はもちろんのこと、断熱や抗菌、調湿など、それまでタイルになかった機能を持った製品を各メーカーが研究し販売しています。

今後も時代のニーズに合わせて様々な製品が誕生していくのではないかと思います。

 

まとめ

写真:モザイクタイル張り浴槽(多治見市モザイクタイルミュージアム所蔵)

今回はタイルの歴史を振り返りながら、改めてタイルについて勉強してみました。

少し前まではモダンな建築としてシンプルな建築が好まれる傾向が強かったように思いますが、最近は場を華やかに彩りたいという意識が再び強くなっているように感じます。

そういった背景も、改めてタイルに注目が集まっている理由の一つだと思います。

今後の投稿では「タイルを使用したさまざまな表現方法」「おすすめのタイルメーカー」など今回の記事に関連した投稿をご紹介していければと思っています。

ぜひチェックしてみてください。

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参考文献:日本のタイル100年 美と用のあゆみ,INAXライブミュージアム,2022年