最近は共働きの家庭が増え、住宅ローンを借りる際にも選択肢が広がりました。
「夫婦片方の収入だけでは借りたい金額が借りられない」
「一人で返済し続けるのは不安」
などという場合に検討したいのが、ペアローンや収入合算です。
聞いたことはあるけれど、違いがわからない・仕組みがわからないという方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、ペアローンと収入合算の仕組み、違いなどについて解説します!
ペアローン
ペアローンとは
ペアローンは、夫婦それぞれが契約者となり、別々の住宅ローンを組む方法です。
すなわち、1つの住宅に対して2つの住宅ローンを組むという形になります。
例えば、夫は2,000万円、妻は1,000万円の住宅ローンを組むという形で、夫婦どちらかのみで住宅ローンを組むよりも借入額を増やすことができます。
ただし契約が2本になるため、住宅ローンの契約に必要な印紙代や事務手数料なども両方にかかることになるので、注意が必要です。
団体信用生命保険はどちらも加入する
ペアローンの場合、夫婦それぞれで住宅ローンを契約しているため、団体信用生命保険は夫婦どちらも加入することになります。
そのため、健康状態や持病の有無など団体信用生命保険に加入できる条件を満たす必要があります。
住宅ローン控除は夫婦ともに適用される
ペアローンは夫婦それぞれが住宅ローンの契約者であるため、夫婦ともに住宅ローン控除が適用されます。
夫婦2人分の住宅ローン控除が適用されると節税効果が大きくなりますので、この点はペアローンを組むメリットです。
住宅の所有権は、出資割合に応じて持分が決まる
ペアローンの場合は住宅の所有権が共有名義となり、夫婦それぞれが出資した割合に応じて持分が決まります。
例えば3,000万円の住宅に対して夫が2,000万円、妻が1,000万円出資した場合、夫の持分が67%、妻の持分が33%となります。
収入合算
収入合算とは
収入合算は、夫婦それぞれの収入を合算して住宅ローンを組む方法です。
収入を合算することで、片方の収入だけで住宅ローンを組むよりも借入額を増やすことができます。
なお、収入合算できる金額は銀行によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。
収入合算には「連帯債務型」と「連帯保証型」の2種類があります。
連帯債務型
連帯債務型は、夫婦どちらかが主たる債務者となり、もう一人が連帯債務者となる方法です。
夫婦どちらも債務者となるため、それぞれ同等に住宅ローンの返済義務が生じます。
ペアローンとは異なり、夫婦2人で1つの住宅ローンを返済していくイメージです。
住宅ローンが1つなので、印紙代や事務手数料などの費用はペアローンよりも抑えることができます。
また、住宅ローン控除は主債務者・連帯債務者ともに利用することが可能です。
住宅の所有権は夫婦それぞれの出資額に応じて持分が決まります。
連帯債務型の注意点
・連帯債務者にも安定した収入が求められる
前述したように、主債務者と連帯債務者は同等の返済義務があります。そのため、夫婦ともに住宅ローンが返済できるような安定した収入が求められます。
・贈与税が発生する場合がある
連帯債務型において、主債務者が返済すべき分を連帯債務者が代わりに返済した場合、「経済的利益の移転」とみなされ、贈与税の対象になってしまいます。贈与税は年間110万円までの基礎控除がありますが、うっかりして贈与税の支払いが必要になった・・・ということにならないよう注意が必要です。
・連帯債務者が団体信用生命保険に加入できるかどうかは金融機関による
団体信用生命保険への加入は万が一の備えになりますが、連帯債務型の場合、連帯債務者が団体信用生命保険に加入できるかどうかは金融機関によって異なります。連帯債務型を検討する場合、銀行に事前に確認しておきましょう。
連帯保証型
連帯保証型は、夫婦どちらかが主たる債務者となり、もう一人が連帯保証人となる方法です。
主債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合に、連帯保証人が代わりに返済義務を負うことになります。
連帯債務型とは異なり、住宅ローンに対する債務者は1人です。
また、住宅の所有権は夫婦で分割されずに、主債務者のみに所有権が発生します。
連帯保証型の注意点
・住宅ローン控除は主債務者しか適用されない
連帯保証人は債務者ではないため、住宅ローン控除は適用されません。
・連帯保証人は団体信用生命保険に加入できない
連帯保証人は団体信用生命保険に加入できません。そのため、万が一の備えができないという点はデメリットとなってしまいます。
まとめ
ペアローンと収入合算の特徴をまとめると以下の通りです。
ペアローン | 連帯債務型※1 | 連帯保証型※1 | |
団体信用生命保険 | 夫婦 | 夫※2 | 夫 |
住宅ローン控除 | 夫婦 | 夫婦 | 夫 |
所有権 | 夫婦 | 夫婦 | 夫 |
事務手数料など | 2人分 | 1人分 | 1人分 |
※1:夫が主たる債務者となる場合
※2:妻(連帯債務者)が団体信用生命保険に加入できるかどうかは金融機関による
今回はペアローンと収入合算の特徴について紹介しました。
今は共働きだったとしても、将来はどちらかが仕事を辞める可能性があるなど、現在と将来で状況が変わるかもしれません。
そのような場合も想定して、それぞれのご家庭に合った方法で住宅ローンを検討してみてくださいね。