最近住宅のパンフレットなどで「長期優良住宅」という言葉を見かける機会が増えてきたかと思います。
長期優良住宅はさまざまな優遇がある、ということを聞いたことがあるかもしれませんが、
具体的にどのような住宅・制度なのか、メリットやデメリットがあるのかについてご紹介します。
長期優良住宅とは
長期優良住宅の概要
長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で住まうために、大きく分けて以下のような措置が講じられている住宅を指します。
- 長期に使用するための構造及び設備を有していること
- 居住環境等への配慮を行っていること
- 一定面積以上の住戸面積を有していること
- 維持保全の期間、方法を定めていること
- 自然災害への配慮を行っていること
これら全ての措置を講じ、所管行政庁に必要書類を添えて申請すれば、長期優良住宅としての認定を受けることが可能となっています。
認定を受けるための基準と流れ
長期優良住宅の認定を受ける際、具体的な基準となっているのは以下の項目です。
- 劣化対策
- 耐震性
- 省エネルギー性
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性(共同住宅等のみ)
- バリアフリー性(共同住宅等のみ)
- 居住環境
- 住戸面積
- 維持保全計画
- 災害配慮
この項目を満たすように住宅を設計し、その内容について技術審査を受けます。
その後所管行政庁に認定申請を行い、問題がなければ長期優良住宅として認定され、認定通知書が交付されます。
これらの手続きは工事着工前に実施する必要があり、長期優良住宅として認定された後に着工が可能となります。
また、工事完了時には原則として認定を受けた計画に基づいて工事が完了した旨の報告が必要となります。
入居後も、申請時に作成した維持保全計画に従って計画的に点検を実施し、必要に応じて調査・修繕・改良を行うことと、その記録を作成・保存することが求められます。
メリットとデメリット
メリット
長期優良住宅にすると、金銭面でさまざまな優遇措置を受けることができます。
【所得税における住宅ローン控除の優遇措置】※2023年12月31日までに入居した場合
戸建て一般住宅では、住宅ローン減税の控除対象となる限度額は3,000万円ですが、
長期優良住宅の場合は5,000万円まで限度額が引き上げられます。
【投資型減税】※2023年12月31日までに入居した場合
投資型減税とは、長期優良住宅を建てるためにかかった「かかり増し費用」の10%が所得税から控除される制度です。
対象となるかかり増し費用の上限は650万円です(控除額の上限は65万円)。
なお、住宅ローン控除との併用はできません。
【登録免許税の税率引き下げ】※2024年3月31日までに入居した場合
戸建て一般住宅では、不動産取得税の控除額は1,200万円までですが、
長期優良住宅では1,300万円までになります。
【不動産取得税の控除額が増額】※2024年3月31日までに入居した場合
戸建て一般住宅では、不動産取得税の控除額は1200万円までですが、
長期優良住宅では1,300万円までになります。
【固定資産税の減免措置適用期間の延長】※2024年3月31日までに入居した場合
戸建て一般住宅の場合、固定資産税の減免措置(1/2減額)の適用期間は1〜3年間ですが、
長期優良住宅の場合は1〜5年間となり、適用期間が延長されます。
【住宅ローンの金利引き下げ】
長期優良住宅を取得すると、全期間固定金利型の住宅ローンである「フラット35」の借入金利を引き下げることができます。
また、返済期間の上限が50年間で、売却時に購入者にローンを引き継げる「フラット50」を利用することもできます。
【地震保険料の割引】
長期優良住宅では、定められた耐震等級または免震建築物を満たしている場合、それぞれの条件に応じて地震保険料の割引を受けることができます。
【地域型住宅化グリーン事業の補助金】
国土交通省の採択を受けた中小工務店等で木造の長期優良住宅を建築した場合、住宅1戸あたり110万円の補助金を受けることができます(ZEH水準を満たす場合は金額増)。
デメリット
【着工まで時間がかかる場合がある】
長期優良住宅の認定を受けるためには着工前の申請・審査が必要となるため、その分着工までに時間がかかる場合があります。
【申請費用がかかる】
長期優良住宅の申請・審査には費用がかかります。
また、申請書類を施工事業者等が代理作成する場合は手数料がかかることもあります。
【建築コストが上がる場合がある】
長期優良住宅の基準を満たすために、設備や建築のコストが上がる場合があります。
まとめ
長期優良住宅は、一つの家に長く住まうための措置が講じられている住宅です。
若いうちに家を建てる等、今後長く住む予定のある方は長期優良住宅を検討してみても良いかもしれません。
メリットに加えて、手間やコストも理解した上で認定を受けるかどうか考えてみましょう。
長期優良住宅について詳しい情報は、国土交通省のHPに掲載されています。
実際に弊社で手がけたこちらの物件では長期優良住宅を取得しました。