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LAB【物品販売店舗】2024

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    福島県福島市

 

隙間から生まれた建築

福島市の中心地に位置する商業施設の敷地内に店舗を新築する計画です。

クライアントからの要望は、敷地内にある既存店舗1号店と2号店の間の敷地(約27坪)に新たに3号店を新築したいという内容でした。

既存店舗をみてみると1号店は特殊な構造形式と有機的な平面形状をもつ建物で、対照的に2号店は流行りのサイディングを使用した黒の外壁とシンプルな平面形状のいわゆる店舗らしい出立ちの建物でした。

全くタイプの違う建物の隙間に新たにどのような建築を作るべきかを考えることが大きな課題でした。

 

既存店舗の形状から生まれたプラン

建物の機能としては、商品を販売する店舗と、従業員が作業する事務所が求められていました。

そこで1階は店舗、2階は事務所の木造2階建てとし、プランは既存建物の外形線と隣地境界線からセットバックして現れた形をそのまま建ち上げることで、限られた面積を最大限有効に活用しようと考えました。そのため直線と曲面の壁を持つ形状の建築となりました。

 

既存店舗の建築的要素の発見

一見すると違うタイプに見える二つの店舗ですが、よく両者の建物を観察するうちに気持ちの良いと思える空間に共通点を見つけました。

1号店も2号店も木の構造体を現しにした半外部空間があり、それがお互いの店舗を行き来する際の重要な接続口となっていました。

この共通の建築的要素を3号店にもデザインとして取り入れ設計を行いました。

 

木の半外部空間が連続してつくられる店舗スペース

一階の店舗の入り口は二階の一部をオーバーハングさせることで既存店舗からの動線が店舗内に連続していくような構成としました。

店舗内に入るとワッフル状の木梁が現しになった空間が広がっています。

既存店舗の半外部空間と連続するようにつくられた空間は、天井高を3.5mとし、室内でも屋外にいるような大らかさを感じられ、フットプリントの小ささを感じさせない広々とした空間になっています。

店舗内の植栽にはハイサイド窓からの気持ちの良い光がこぼれ、日中は自然光が室内を満たす店舗空間となっています。

 

曲面壁がつくる印象的な空間

曲面の壁の外部は幅300mmのサイディングを縦張りにしており、曲面の壁に沿うように植栽スペースを計画しています。

内部は珪藻土塗装として、曲面壁と併せてデザインした丸みのあるデザインの什器を配置しています。

曲面壁は空間に奥行きや柔らかさをもたらすとともに、空間にさまざまな影響を与えるアクセントにもなっています

 

敷地全体を見渡せるプライベートバルコニー

敷地内にある唯一の2階建の建物なので、2階部分を事務所とすることで落ち着いて作業できるスペースを作りました。

店舗全体の雰囲気を感じられるように敷地全体を見渡せる位置に、プライベートバルコニーを計画しています。

 

個性的な三兄弟が建ち並ぶ風景

敷地入り口から建物群の全景を見渡すと、それぞれが違う個性を持つ三兄弟が建ち並んでいるように感じます。

見た目や雰囲気は違いますが、それぞれに共通したデザイン要素を意図して設計することで不思議と以前からそこにあったかのような違和感のない風景を作っています。

今後人気のスポットとして、もしかすると四兄弟、五兄弟と、街並におもしろい広がりを作っていってくれるかもしれません。

写真5枚目、6枚目はアーキトリップ撮影

Data

  • 構造木造2階建て
  • 間取り-
  • 敷地面積2270.08㎡
  • 建築面積72.49㎡
  • 延床面積116.96㎡
  • 竣工2024年11月
  • 設計アーキトリップ/桑名翔太+平岡諒太
  • 構造設計mono/森永信行
  • 施工ボンズアーキテクト