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【タイル表現】見え方が劇的に変わる張り方をご紹介!

家づくりで人気のある素材「タイル」について、以前の記事ではタイルの歴史を振り返りながらその人気の秘密について学びました。

過去の記事はこちらから

タイルはそれ自体の素材も豊富ですが、どのような張り方(目地割り)にするかで見え方や表現方法が無数にある珍しい素材でもあります。

 

今回の記事で紹介するポイント

・タイルの基本的な張り方

・建築家による工夫を凝らしたタイル表現

 

今回はタイルの張り方(目地割り)について事例を交えながらご紹介したいと思います。

 

タイルの基本的な張り方

ここではタイルの基本的な張り方についてご紹介します。

いも目地

いも目地とは、縦横一直線に目地が通っていて、まっすぐタイルを並べた張り方のことです。規則正しく伸びるとされる芋の根に似ていることから、この名前がついたと言われています。

資料引用:TILE&STONEカタログ,P648,(2023.05.05)

うま目地

うま目地とは、タイルを半分ずつずらしてはる張り方のことです。交互にタイルが張られている様子が馬の足跡のように見えることから、馬踏み目地とも呼ばれています。

資料引用:TILE&STONEカタログ,P648,(2023.05.05)

その他

いも目地、うま目地は一般的なタイルの張り方で、よく見かけると思います。この2種類の他にも様々なタイルの張り方があります

資料引用:TILE&STONEカタログ,P648,(2023.05.05)

 

建築家による工夫を凝らしたタイル表現

名称が決まっているタイルの張り方以外にも、建築家が空間をより良く表現するために、試行錯誤して生まれたタイルの表現の事例をご紹介したいと思います。

 

アントニ・ガウディ/グエル公園/1900~1914年

実際に見て驚いたタイルの表現として、ガウディのグエル公園があります。ガウディは意匠表現として割ったタイルを張って使用したことが有名なのですが、

ただ適当に割って張っているのではなく、用途に合わせてタイルをつくり、あえてそのタイルを割って張っていたとのことです。

そのような手の込んだ特殊な技法を用いることで、そこにしかない空間を表現しているように感じました。その造形の奥深さにはとても感動しました。

 

村野藤吾/森五商店東京支店(現・近三ビルジング)/1931年

村野氏はモダニズム系の建築家の中でもタイルの使い方に定評があったといわれています。近三ビルジングの様々なモザイクタイルを組み合わせた天井は圧巻です。

写真引用:日本のタイル100年 美と用のあゆみ,INAXライブミュージアム,2022年,P12

 

藤森照信/多治見市モザイクタイルミュージアム/2016年

特徴的な外観が目を惹く多治見市モザイクタイルミュージアムですが、外観は一風変わったタイルの使用の仕方をしています。

建物に近づいていくと土壁に対して一定の間隔でポコポコとタイルが埋め込まれています。

藤森氏いわく、このタイルの使い方は、土採り場で土の中に埋まっている風化した木などをみて思い付いたとのことです。

写真引用:Nagoya Baseホームページ,(2023.05.05)

 

ここからは最近の建築家のタイル表現の事例についてご紹介します。

 

湯浅良介/波/2022年

床面に施工された、青いタイルは職人さんが一つ一つ手作業で設置しているとのことで、目地の幅を30mmとかなり大きくとっているのが特徴的です。

さらにそこの目地材を壁と同材にすることで壁と床との繋がりを強調しているそうです。

現在は施工時のズレや変形を防止するためにネット張りでの施工が多いですが、一つ一つ手作業で設置されたタイルの微妙な揺らぎがタイトルにもなっている波を表現しているのかなと思いました。

写真引用:新建築 住宅特集,2023年5月号,P82

 

増田信吾+大坪克亘/窓の庭/2023年

こちらは4種類の既製品のタイルを組み合わせて使用しているとのことです。汎用品のタイルも組み合わせ方次第でオリジナルの見せ方ができる好例です。

写真引用:新建築 住宅特集,2023年4月号,P21

 

スキーマ建築計画/狛江湯/2023年

角タイルを加工して、目地幅で文字を表現しているおもしろい事例です。銭湯でよく見かける壁面の富士山の絵も目地で表現されていて新鮮に感じました。

写真引用:狛江湯ホームページ,(2023.05.05)

 

まとめ

今回はタイルの張り方に着目して、様々な事例をご紹介しました。同じ素材でも使い方や見せ方を工夫することで、様々な表現が可能になります。

お施主様との唯一無二の家づくりのために、アーキトリップでも様々な表現や素材の使い方をご提案できるように、日々勉強して挑戦していきたいと思っています。

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