山形県米沢市で新築別荘の設計・施工を行いました。
四季を感じながら過ごす
施主様はマイアミ(アメリカ)で暮らしており、
日本へ訪れた際の滞在拠点となる別荘を建築したいというご依頼から本計画はスタートしました。
建築地は米沢市の山間部に位置し周囲が山々に囲まれたとても自然豊かな場所です。
マイアミには山がほとんどなく、この日本らしい景色を施主様は気に入り、この場所に建築することが決まりました。
本来建築物は動くことなくその場所に佇んでいますが、周囲の風景が変化することで
全く別の建物に感じることがあります。
アメリカや都心部・住宅街の暮らしでは感じることのできない、季節の移ろいや風土を感じられるような設計を目指しました。
文化と建築空間について
日本とアメリカの文化の違いの一つに「土足文化」があります。
履き物の着脱は建築空間にも大きく影響を与えており、
バッファー空間(玄関やポーチ等)の捉え方や使用用途がそれぞれの特徴を表しています。
本計画ではエントランスを抜けるとキッチン・ダイニングが広がるプランになります。
この場所は日本古来の住まいで主流だった「土間」とアメリカの「土足文化」を
織り交ぜた空間になっており、建築を通じて異国の文化を感じることを狙いとしています。
連なる和室により可変性のある間取り
日本建築は田の字プランと呼ばれる和室が連なる間取りが一般的でした。
ふすまの開閉や障子の開け閉めにより、空間の使用用途を変更したり
時間帯によって外部との関係性を調整したりと、可変性のある空間が日本的な間取りの特徴でした。
本物件においては、その可変性を大切にしながらプランニングをしています。
用途が別荘のため複数人の宿泊に対応できることや、季節や過ごし方によって可変性が生まれる様な建築になっています。
別荘ならではの暮らし
一般的な住まいとは違い、ここでは別荘ならではの過ごし方と間取りがあります。
特徴的なのは各部屋にバスルームが付属していることです。
これもアメリカ文化によるもので、バスルームはシャワー、トイレ、洗面がワンセットになっています。
各部屋毎にテーマを変え、それぞれのルームで異なった雰囲気が味わえる様なデザインが特徴です。
景色を取り込む窓
この建築にとっての窓は光を取り込むためだけのものではありません。
外の景色を取り込み、季節の移ろいを感じるための役割を設け、施主様が来日しここで過ごす楽しみをつくるきっかけとなります。
近くの木々を眺める窓や、遠くの山々を眺める窓など、場所によって様々な風景を眺めることができます。
日本ならではの素材を楽しむ
畳を敷き込んだ時の井草の匂い、木材の質感や香り、これらは日本特有のものがあります。
異文化の中でもどこか懐かしく感じられる様な素材を使用し、日本での暮らしを楽しんでもらえるカケラが散りばめられています。
クライアントさんとの出会い
施主様とはHPから問い合わせをしてくれたことにより別荘づくりがスタートしました。
当初は私が英語を話すこともできず(今も全然ですが)身振り手振りで設計の意図やデザインの説明をしていました。
会う回数が増える毎にコミュニケーションは円滑になり、そして何よりも弊社の設計を信じてくれたことで
今回の建築が出来上がりました。
建築を通じて日本の文化や風土を感じてもらえるよう、想いを込めたプロジェクトです。
Data
- 構造木造2階建て
- 敷地面積583.52㎡
- 建築面積137.3㎡
- 延床面積177.1㎡
- 竣工2025年5月
- 設計アーキトリップ/桑名翔太+原田豊嘉
- 構造設計-
- 施工-