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制限と発想について

最近は中東情勢の影響でさらに追い討ちがかかっているが、ここ数年、
建築費が高騰しているということもあり、見込んだプラン(仕上げ)ではとても予算が足りずに削減案を考えるというのが、ほぼ毎回起こる。

ただ、結果毎回良いのができる。(と思っている)

これって制限(予算)から生まれる発想法のひとつで、制限があればあるほど思考が研ぎ澄まされるのではないだろうか。

例えば、
①制限がない:壁をジョリパットで仕上げよう。
②制限がある時:壁の半分だけジョリパットで仕上げよう。

予算が潤沢な時は①になりがちだし、削減案を考えるときには②がよぎる。

②の場合は、残りの半分の仕上げ方次第に色々な可能性がうまれる。

予算がない=マイナスではないということを常に意識していたい。

そこからでしか生まれない発想や方法、作り方がきっとあり、それを考えるのも設計事務所や設計士の役割のひとつである。

今や「リノベーション」では当たり前になっているが、
天井や壁の中で今までは日の目を浴びなかった柱や梁が突如主役になることがある。

きっと昔の大工や設計士にはその思考はなかったし、「これでいいじゃん」という価値観も10年前くらいから出始めた新しいものだと思う。

世の中が不景気になって建築費を削減したり、建物よりも別なところにお金をかけたいという価値観からあるからこそ、うまれた表現手法だ。

建築の仕事においてだけではなく、「節約」というのは発想の可能性を広げてくれるひとつの選択肢だと思っている。

日常の生活の中でもそれを実感することも多いし、
子供の頃というのはその集大成だったんじゃないだろうか。

少ないお小遣いで少しのおもちゃを買い、楽しめる遊びを新しく生み出したりしていたことが記憶にある。

予算が合わない=思い通りの家が建てられない

というイメージがつきやすいが自分はそう思わない。

むしろ、いままでになかった価値観や新しい探求ができるきっかけとなり楽しみもある。

今まさにその状況の案件が多いけど、制限の中でしか自由な発想は生まれないと考えると、これからつくる建築はきっと良いものになると信じてひとつひとつに丁寧に向き合っていきたい。