no-image

地方における設計事務所の需要について

アーキトリップの桑名です。
福島県福島市(人口27万人ほど)で設計事務所を経営しています。

アーキトリップでは、少しずつですが「地方でしかできないこと」をやりたいと考えるようになりました。

そのため、東京や首都圏の仕事は、極力請けることをやめました。

もちろん、この選択が正しいのかはまだわかりません。

仕事の幅を狭めているだけなのかもしれない。
もっと都会の仕事を受けた方が、会社としては安定するのかもしれない。
地方にこだわった結果、思うように実らない可能性もあります。

それでも、自分たちがいる場所の中で、何ができるのかを考えたい。

福島という土地で、どんな建築が生まれるのか。
地方の暮らしや商いに、建築がどう関われるのか。
この場所にいるからこそ、どんな価値をつくれるのか。

そこに向き合い続けることが、アーキトリップらしさにつながっていくのではないかと思っています。

地方で設計事務所を続けることは、決して楽ではありません。

需要が多いわけでもない。
市場が大きいわけでもない。
継続して仕事を生み出す難しさもある。

それでも、地方には地方にしかない余白があります。

土地の広さ。
環境の豊かさ。
古い建物。
地域の人。
まだ使われていない資源。
これから生まれるかもしれない小さな事業。

そういったものに建築が関わることで、地方の未来は少しずつ変えられるのではないかと思っています。

不安はあります。

でも、それ以上に、この場所でできることへの可能性も感じています。

アーキトリップはこれからも、地方での仕事を楽しみながら、この場所の未来をつくっていける設計事務所でありたいと思います。

 

まずはそもそもの需要があるのか?という点について

地方で設計事務所を運営していて感じるリアルや可能性について。
この場所で一生食っていけるほどのニーズはあるのか?と不安になることも多いです。 現在の仕事の状況なども踏まえ綴ります。

設計事務所の仕事は、「to C」・「to B」どちらもありますが、弊社の現在を集計してみました。

・住宅(新築):4件

・住宅(リノベ):4件

・店舗(新築・リノベ):6件

to C(住宅)8件に対し、to B(店舗)6件といった割合です。

事務所の特色にもよると思いますが弊社の場合は一般ユーザー(住宅設計)の顧客が多いです。

地方で設計事務所にお願いするくらい住宅にこだわる人っているの?と思いがちですが、意外と結構いると思います。

 

どんな人から需要(相談)があるのか?という点について

住宅の設計依頼の中で、相談が多いケースをあげてみます。

  • 土地の形状が特殊
  • ハウスメーカーでは理想が建てられなそう
  • ハウスメーカーでは予算が合わない(安く建てたい)
  • 意匠や性能にこだわりが強い
  • 古民家や空き家を再生したい

分類すると上記のような相談が多い気がします。

土地の形状や古民家などは地方が抱える問題でもあるので、そういった点においてはより需要があると感じています。
ただ、「住宅にこだわりを持ちたい」という母数は圧倒的に少ないので、その市場を複数の会社で取り合っているのが現状です。

何かに特化していかない限り、継続的に受注を取るのは難しいだろう、ということも実感しています。

 

地方ならではのこと

福島で設計事務所をやっていて、他では味わえない、ここでやっていてよかったことがあります。

まず、なんといっても土地が広いことです。そして環境が豊かなことです。

土地が広いことで設計の自由度が高かったり、周りの環境の良さが建築に与える影響は計り知れないものがあります。
設計者にとって、環境や風土はとても大切にしたい要素で、それを最大限活かせるのは地方ならではかなと思います。

なので地方と都心の設計者の根本の思想も異なるのではと考えています。

 

現場での働きやすさ

都心部はマンション工事・ビル工事が多くを占める一方で、
我々の仕事は戸建てが多いです。

何が違うか?

職人が道具を運んだり、材料を運搬・搬入したりする手間が全然違います。
おそらくそこの人件費に結構差がでます。

また、駐車場問題や道が狭いなどといった不都合が少ないため、現場に入る前のストレスが圧倒的に少ない気がします。
現在地方では「仕事不足」が進行しており、職人はいるが仕事がない。という状況に向かっています。

一方で首都圏では、仕事があふれ「職人不足」という状況が生じているようです。

【働き口】という観点では地方は衰退していき、なかなか厳しい状況になることが予想されています。

 

地方の今後と可能性について

今後、間違いなく地方の設計事務所の需要は増えていくと感じています。

それは、to C向けの住宅よりも、富裕層向けの別荘や事業者向けの設計案件が可能性として強いです。

ワークスタイルもここ数年で変化し、都心にいる必要ないんじゃない?といった層が確実に増えていて、その方々と設計事務所の親和性が高いと思います。

ただ、今までのような「注文住宅」の仕事は確実に減っていくとも考えています。

日本が置かれている状況や世代の価値観によって住宅市場は影響を受けやすい職種です。

設計事務所=新築、リノベの注文住宅

から脱却できないと地方での未来はなかなか無い気がします。

アーキトリップでは、「地方でしかできないこと」をやりたいと考えはじめ、東京や首都圏の仕事は極力請けることを辞めました。

この選択肢が良いのか、全く実らない結果になるのか、まだわかりませんが、地方での仕事を楽しみ、未来をつくっていければと考えています。